Hさんのケース(原告案件、引出に関与していないという答弁に伴う危険)
2024.03.28
ご相談の経緯
Hさんは、亡くなった父の預金が10年間に亘って約1億円引き出されたことを知り、父の介護をしていた妹に問いただしました。妹は、知らないの一点張り。Hさんは、父の預金の履歴を取り、窓口で行われた引き出しについては、引き出し伝票の写しを取って見ました。すると明らかな妹の筆跡が散見されました。
経過
まず、Hさんは、引き出した銀行の支店に着目しました。年老いた父が一人で引き出しには行けない距離の支店です。また、引き出し伝票の写しからは、妹の筆跡が確認できました。それを妹に突きつけて回答を求めました。結局、訴訟に至りましたが、妹の答弁は変わりません。
裁判所が、被告はいろいろ言うが、要介護の人の約1億円のお金が消えていることになる。その子どもである原被告が何も知らないと言うのは不自然だ。その間の原被告の父の生活への関与の程度を主張しなさいとしました。
Hさんは遠方にいて、父の生活に関わることはなかったと主張しました。一方被告は、それでも「知らない」と主張するにとどまりました。
結果
裁判所は、被告は介護を行っただけでなく、ほぼ同居で、父の預金の推移についてなにも知らないとするのは不自然で、被告が虚偽を述べているからとして、妹の引き出しへの関与を認めて、Hさんに金銭の返還を命ずる判決が出ました。