Fさんのケース(被告案件、裁判所が被告の立証の程度に言及した事案)
2024.03.28
ご相談の経緯
Fさんは、車で1時間程度の場所にある母の面倒を看るため、毎週母の元の通っていました。
母は父存命中は預金等の管理は父任せで、父が死亡した後は、Fさん任せになっていました。
母が亡くなり、母の預金からの出金について、兄が問題視し、Fさん相手に不当利得返還請求訴訟を提起してきました。
経過
Fさんは、母の介護の記録を手書きで付けていて、それも証拠で提出しました。ただ、記録は、整然と記されているものでなく、Fさんのメモ書き程度の体裁でした。
一審はほぼ兄の主張を認める判決を出しました。Fさんは控訴しました。
控訴審は、原告は、銀行の取引履歴で、正確に銀行からの出し入れの事実を捕捉できる一方、元来立証責任を負っていない被告にだけ正確な使途の説明を求めるのは、立証責任を転換したに等しく、被告に取って酷であるとして、メモ書きを整理して主張をし直すようFさんに求めました。
結果
結果として、高裁では、Fさんが一審判決の半額を兄に返還するという内容の判決が出ました。 Fさんとしても、メモ書きであることで証拠として価値がないと早く判断したことが敗因でした。
もっと、主張立証に貪欲になるべきでした。