目次
1. 遺産分割調停?
解決する場は遺産分割調停(家裁)なのでしょうか。
家裁で行う遺産分割調停は、今(相続開始後紛争が生じた時期)現にある「遺産」を分ける手続です。
遺産がもっとあったはずだ、使い込まれた預金も遺産分割調停で扱って欲しいと言っても、家裁では受け付けません。
(正確に言うと、相手方も遺産分割で解決して良いと言ったときには、遺産分割調停でも扱います。)
ではどうすればいいのか?あきらめざるを得ないのか?
2. その他の方法?損害賠償、不当利得
地裁で、不法行為による損害賠償請求訴訟、不当利得返還請求訴訟を提起します。
遺産分割する時点で既に無くなっている財産は、地裁で返還請求をしていきます。
3. 方法の紹介
どのような請求なのですか。
結論から言えば、不法行為による損害賠償請求訴訟、不当利得返還請求訴訟いずれも、使い方に差違はそれほどありません。
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4. 使ってしまった立場では
使ってしまった人の立場としては、頑として返還を拒むことで対応は正しいのでしょうか。
裁判を起こされたときは、しっかり応訴します。
請求の棄却を求めますが、答弁書は特に大事です。
- 引出しに関与したこと自体を否定する。
- 引出しに関与したことは認め、被相続人の能力を争う
- 被相続人に包括的に委任されたと説明する。
- 被相続人に贈与されたと説明する。
- 使途をできる限り説明する。
立証責任は、原告にありますが、被告としても十分な反証を行う必要があります。
原告も訴訟代理人として弁護士に相談してから提訴しますので、その訴えには一応の合理性があるとみて、いくらかは返す、ただ、その額を少なくするというスタンスで対応します。
5. 遺産分割の必要な場合
遺産分割をしないとならない不動産等の遺産もあります。
無くなってしまった預金は、地裁で返還請求をしますが、遺産分割も必要な時には、地裁で解決してから、遺産分割は家裁に調停を求めます。
- 地裁での返還請求で、遺産分割まで含めて和解することもあります。地裁では遺産分割はできませんので、遺産分割は訴訟外の遺産分割協議書を作成します。
- 地裁で返還額を確定し、その分の債権をもっているとして、家裁で不動産を分けるとき、その分を先にもらう方法もあります。
- 不動産の額も大きく、地裁で返還額を返してもらって、改めて家裁で遺産分割調停を行います。